2008年8月28日木曜日

第5回 Linuxの基礎知識 Part2

独学Linuxのvine_userです。
「これならわかる!デスクトップLinux」のご購読ありがとうございます。

暑い日が続いていますが,みなさんのグラボは大丈夫でしょうか?
実は2年ほど前に,グラボが焼けてしまった苦い思い出があります。
きちんと冷却を考えましょう。


さて,今回はちょっと難しいかも知れませんが,Linuxと付き合っていく
以上はぜひ知っておいていただきたい話です。


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 Linuxの基礎知識 Part2
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 コマンド操作の利点
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いま100枚の画像データがあるとします。
これらはバラバラのサイズなので,同じ大きさに揃えたいと考えています。

こういうときどうします?
1枚1枚を画像処理ソフトで大きさの変更をしますか?大変ですよね。

実は,ImageMagickというソフトに付随するconvertというコマンドを使うと,
一発で100枚すべてを自動処理できるのです。

こういう使い方があるかどうかわかりませんが,atというコマンドを使えば,
この処理を指定した時刻に実行するように設定することも可能です。

これらはコマンドを利用した1つの例に過ぎません。
最近のLinuxではGUIだけでほとんどの操作がWindowsと同じようにできるように
なってきていますが,GUIだけで使うのはもったいないと思います。

コマンドを理解し,コマンド操作を併用していけば,Windowsとは違ったLinuxの
便利さを実感できるでしょう。また,ソースファイルでしか手に入らないソフト
をインストールする際には,コマンド処理を避けて通ることはできません。

ただし,すべてのコマンドを覚えるのは不可能ですし,その必要もありません。
ここでは僕が普段よく使うものだけに絞って,用途別にまとめてみます。


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 よく使う基本コマンド20 --ファイル管理編--
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あらかじめ断っておきますが,これから説明するコマンドの機能には,GUI
で簡単に操作できるものも多く含まれます。ですが,基本は大切です。

コマンドには,「-r」とか「-i」とかいう形で追加するオプションがあり
ますが,これも普段使わないものは省略します。大抵のコマンドには,
「--help」というオプションがあるので,それを参考にして下さい。
また,cpコマンドであれば「man cp」などと入力すれば,マニュアルページ
が表示されますので,そちらも参考になるでしょう。

ちなみに,以下で出てくる「ディレクトリ」という用語については後述の
「用語解説」を参考にして下さい。わかりやすくするため,適宜,ディ
レクトリをフォルダという呼び方で説明しています。


■ ファイルのコピー・削除
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コマンド名「cp」 
機能:ファイルやディレクトリをコピーする
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<使用例-その1>
$ cp ファイル1 ファイル2
「ファイル1」というファイルを「ファイル2」という名前でコピーします。
<使用例-その2>
$ cp -r フォルダ1 フォルダ2
「フォルダ1」というフォルダを中身ごと「フォルダ2」にコピーします。

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コマンド名「rm」 
機能:ファイルやディレクトリを削除する
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<使用例-その1>
$ rm ファイル1
「ファイル1」というファイルを削除します。
<使用例-その2>
$ rm -r フォルダ1
「フォルダ1」というフォルダとその中身を削除します。
<使用例-その3>
$ rm -rf フォルダ1
「フォルダ1」というフォルダとその中身を強制的に削除します。

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コマンド名「mv」 
機能:ファイルやディレクトリの移動・名前の変更をする
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<使用例-その1>
$ mv ファイル1 ../ファイル2
「ファイル1」というファイルを1つ上のフォルダに「ファイル2」
という名前で移動します。
<使用例-その1>
$ mv -t フォルダ1 ファイル1
「ファイル1」というファイルを「フォルダ1」というフォルダの中に
に移動します。

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コマンド名「mkdir」 
機能:ディレクトリを作成する
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<使用例-その1>
$ mkdir フォルダ1
現在の位置に「フォルダ1」という名前のフォルダを作成します。
<使用例-その2>
$ mkdir -p testup/testdown
現在の位置に「testup」という名前のフォルダを作成し,さらにその
中に「testdown」という名前のフォルダを作成します。


■ ディレクトリの移動・現在位置での確認
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コマンド名「cd」 
機能:ディレクトリを移動する
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<使用例-その1>
$ cd フォルダ1
現在のディレクトリの下にある「フォルダ1」というディレクトリに移動
します。「フォルダ1」が存在しなければエラーになります。
<使用例-その2>
$ cd ../
現在の位置から1つ上のディレクトリへ移動します。
$ cd
現在の位置からユーザのホームディレクトリへ移動します。

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コマンド名「pwd」 
機能:現在のディレクトリの場所を確認する
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<使用例> vine-userというユーザの場合,Gnome端末を開いた直後では
$ pwd
/home/vine-user
という形で表示されます。

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コマンド名「ls」 
機能:ファイルやディレクトリの情報を表示する
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<使用例-その1>
$ ls
現在のディレクトリの中にあるファイルやフォルダの名前を一覧表示します。
<使用例-その2>
$ ls -a
現在のディレクトリの中にある「.」(ドット)で始まる隠しファイルや隠し
フォルダを含めたすべてのファイルやフォルダの名前を一覧表示します。
<使用例-その3>
$ ls | grep (文字列)
名前に(文字列)を含んだファイルやフォルダのみを一覧表示します。
<使用例-その4>
$ ls | less
多くのファイルが含まれているとき,表示が先に流れてしまわないように
先頭が見える形で表示をストップします。続きを見るには,Enterキーを
押し,途中でやめるにはqキーを押します。

(注意)使用例-その3・4のgrepやlessは独立したコマンドですが,
   組み合わせて使うことが多いので,ここに挙げておきました。

■ シェルの補完機能
一度入力したコマンドは,シェルの中に履歴として残っています。
この履歴は,↑キーや↓キーを使って呼び出すことが出来ます。
これをシェルの補完機能といって,同じコマンドを繰り返し実行したい
ときに非常に便利。

これは,コマンドそのものではありませんが,コマンド操作でよく使うので
覚えておくといいでしょう。

もう1つの補完機能。GUIで目に見えているフォルダをGNome端末に
ドラッグすると,そのフォルダのディレクトリが入力されます。

例えば,目的のフォルダが見えるようにファイルブラウザを開いておき,
cdと入力してから,そのフォルダをドラッグします。すると,一気に
そのディレクトリへ移動できるというメリットがあります。


今回はこれまで。次回は,アプリケーションのインストールに関連した
コマンドを中心に解説します。


◎ 用語解説 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ディレクトリ】
フォルダ(ファイルの格納場所)やファイルの場所を表すものと考えていい
でしょう。例えば,vine-userというユーザのデスクトップの場所は
/home/vine-user/Desktop
という名前のディレクトリになります。このユーザでログインしている場合,
Gnome端末を開いた直後は
/home/vine-user
という名前のディレクトリにいることになります。このディレクトリを特に
そのユーザのホームディレクトリといいます。
なお,「/」の記号はディレクトリの境目を表していて,単に「/」とだけ書くと
PC内のLinuxシステムのすべてを含む一番上のディレクトリを表します。

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★★★★ 付録 [独学Linuxの裏話] ★★★★★★★★★★★★★★★★★

僕が心の中で「Google予算」と呼んでいるものがあります。何かというと,
Adsenseの収入です。ブログに書くと金目当てかと勘違いされるので,あえて
ブログでは触れませんけど,最近ではほぼ毎月120ドル程度の収入があります。

この「Google予算」ですが,どうも個人的にパーっと使う気になれないんです。
何かの形で読者の方々に還元しなきゃいけないと思ってしまいまして…。
結果的に,どうしているかというと,実はブログで紹介している実験を行う上
で必要なハードウェアの購入に当てているんです。
以前からのブログの読者の方々には見覚えがあると思いますが,Wiiリモコン
やiPod,実験用HDD,昨日のブログで取り上げたATIのグラボなどは,すべて
「Google予算」の産物です。

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次回の配信は,8月16日です。もう少しコマンドの説明が続きますが,
ちょっとだけ我慢してお付き合い下さい。